屋上グリーンループ始動 〜 メダカの糞水はゴーヤをどこまで成長させられるのか

はじめに:ベランダループの新たな挑戦

Veranda Aqua Laboが提唱する自然循環思想ベランダループ。これまでメダカの排泄物からグリーンウォーターを生成し、それをミジンコが消費し、さらにメダカの血肉となるサイクルを検証してきました。今回、この循環系をさらに拡張し、陸生植物への生化学的アプローチを開始します。ターゲットは、屋上環境で急速な成長が期待されるゴーヤです。考察していた記事はこちら

メダカの飼育水底に沈殿する排泄物(以下、糞水)には、植物の成長に不可欠な窒素化合物や微量元素が豊富に含まれていると推測されます。しかし、これをそのまま無計画に投与すれば、土壌の環境悪化を招くリスクも孕んでいます。本レポートでは、独自の濾過・分離プロトコルを用いた比較実験の設計について解説します。

実験プロトコルの策定:土壌目詰まりの完全回避

糞水をそのまま土壌へ流し込む行為は、アクアポニックスや有機栽培の観点からも推奨されません。固形有機物が土壌の隙間に入り込むことで物理的な目詰まりが発生し、根の呼吸不全(根腐れ)を引き起こすリスクがあるためです。

そこで当ラボでは、以下の二段階分離プロセスを採用しました。

  • スポイト抽出:メダカ飼育容器の底に溜まった糞水を、ピンポイントで丁寧に吸引。
  • 静置・沈殿処理:抽出した糞水をすぐに投与せず、専用の容器で一定時間静置。固形微粒子を完全に自重沈殿させる。
  • 上澄み液のデカンテーション:極力固形物を混入させないよう、分離した透明度の高い上澄み液のみをシリンジ等で回収し、植物へ投与する。
Labo's Note: 生化学的視点からの「上澄み液」
固形物を排除しても、水中に溶け出したアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素、そして水中の微生物群(ロドシュードモナス等の有用細菌群を含む)は上澄み液側に豊富に含まれています。これにより、土壌の物理的構造を破壊(目詰まり)することなく、安全かつ即効性の高い液体肥料として機能することが期待されます。

検証環境と対照実験の設計

科学的根拠を重視する当ラボにおいて、単一栽培での効果測定は認められません。今回は、同時期に播種・定植された4株のゴーヤ苗を対象とし、特殊な個体差によるエラーを排除するための複数検体かつ並列の実験系を構築しました。

屋上の均一な日照条件を最大限に活かし、以下のような配置で検証を行います。

配置(右側からカウント) 実験グループ 投与プロトコル 期待される検証効果
1つめの苗(最右翼) 実験群 A 毎日、糞水の上澄み液を一定量投与 個体変異を排除した糞水有りの共通データ収集
2つめの苗 実験群 B 毎日、糞水の上澄み液を一定量投与 同上(Aとの成長差異の有無も観察)
3つめの苗 対照群 C 通常水のみ(または規定の標準液肥) ベースラインデータ(糞水無し)の確立
4つめの苗(最左翼) 対照群 D 通常水のみ(または規定の標準液肥) 同上

今後の展望と観察項目

この実験は、本日よりゴーヤの最終収穫期まで毎日欠かさず継続される長期プロジェクトです。AI画像解析を用いた葉面積の拡大率計測、茎の肥大化速度、そして最終的な果実の収穫重量および糖度・栄養価の比較までを視野に入れています。

メダカがもたらす排泄物は、単なるゴミではなく、屋上菜園を駆動させる緑の推進力となるのか。Veranda Aqua Laboの次なるレポートにご期待ください。